少子高齢化が叫ばれる日本ですが、この展開は今後も続いていくと思われます。そして年を重ねていく人の多くは、「できるだけ健康でいたい」「若々しい状態を維持したい」と考えていることでしょう。
私たちはこのような希望に答えるために、医学・薬学の観点から、健康維持や病気の予防、美容のサポートを行っていきます。
当薬局は、長年の実績を基盤に「繋がり」を大切にしてきました。
私たちが目指しているのは、「あなたのかかりつけ薬局であること」です。スピーディーに薬をお渡しできる環境づくりはもちろん、過去の投薬履歴などの情報も専門家の視点から適切に確認していきます。これにより、より安全で、より高品質なサービスを提供できると考えているからです。患者さまが自発的に服用を行う「アドヒアランスの向上」に貢献し、信頼される調剤薬局づくりに取り組んでいます。
当薬局の従業員一人ひとりが「会社の代表である」という責任と誇りを持ち、誠意をもって、誠実、かつ迅速な対応を心がけ、常に医療サービスの向上に努めます。
医師が発行する処方箋に基づき、正しい薬を、正しい量、正しいアドバイスをもって、お客様に提供します。
また、薬に関する質問にも積極的にお答えしていきます。
健康と生活を支える「薬」を通して、私たちは患者さまのQOL(生活の質)の維持向上に尽力していきます。
日光街道沿いに店を構え、親子3代にわたって楽局業を営んできた有限会社長谷川薬局(長谷川敬代表取締役)の創業は1908年。今年で105周年を迎える。戦前は医薬品や衛生用品に加え、農薬やガラス、塗料、染料なども幅広く取り扱い、“街の化学者"として人びとの生活を支えた。また、戦後の混乱期に粗悪な薬剤が出回る中、良質な医薬品を仕入れて販売し、地域の人からとても感謝されたそうだ。
1965年頃に現会長の長谷川隆さんが化粧品部門を立ち上げ、1974年には「美と健康」を薬局のキャッチフレーズとして地域に貢献してきたが、医薬品と化粧品だけでは「美と健康」を追求するには限界があると感じ、2003年から「食」を活動の中核に据えて管理栄養士を雇用し、店頭での栄養相談に積極的に乗り出すようになった。
そして、2005年に食育基本法が制定されたことをきっかけに同じ商店街で店を開いているレストランと組んで、地域に向けた食育セミナーを開始。その動機について代表取締役の長谷川敬さんは「薬局が“世の中の役に立ちます”と言ったところで、自分のテリトリーから出なければやれることは限られています。店内にこもっていないで、地域に出ていくことが人事だと考えたのです」と語る。また、同じ地域で商売を営む異業種とのコラボレーションによる相乗効果も狙ったという。
その狙いどおり「食育セミナー はじめのいっぽ」と名付けられたレストランでの食育セミナーは、主婦層を中心に人気が集まり、開催されてきた。
長年にわたり、食育セミナーを担当しているのは、同薬局本店に勤務する管理栄養士の大嶋寿恵さんだ。セミナーを始める以前から店頭で薬局を利用する患者さんを中心に栄養相談を随時行っていたものの、「地域の人たちの食育意識の向上に貢献する」という社長命令を受け、当初は戸惑ったそうだ。
「食育という言葉さえ聞いたことがない人たちがどんなことを知りたがっているのかわからないし、最初は手探り状態でした」と大嶋さんは振り返る。そこで、食育セミナーの運営方針として決めたのが、フリートークを大事することだった。「患者さんとの店頭でのやりとりを思い出したのです。いろいろな話をして親しくなったほうが受講者のニーズが確実に引き出せると――」。
こうして大嶋さんは、食にまず関心を持ってもらうことを第一目標に置いて食育セミナーを展開していった。講義の後にアフターヌーンテイーを楽しみながら質疑応答を行うことなどもできたので、レストランに会場を設定したことも大正解だった。リラックスした受講者から「やはり健康と食は切り離せないのね」といった感想が多く寄せられたという。
また、大嶋さんはフリートークの時間に質問された受講者の疑問を積極的に食育セミナーの講義内容に取り入れていった。その一つが食品に含まれる成分の量だ。砂糖や油、塩などの成分がどのくらい含まれているのか一般の人には見当がつかないため、食行動に結びつかないことを受講者とのやりとりから知った大嶋さんは、ジュースや菓子などの食品に含まれる成分の実際の量を瓶に入れて“見える"化したところ、大きな反響があったという。
「こんなに糖分や塩分を摂取していたのかと間食を控える人が出てきて効果は大きかったと思います。店頭の栄養相談にも活用できると同じ見本を薬局に置くようになりました」と大嶋さん。
一方、レストランでの食育セミナーが評判を呼び、地域の小学校からも講師を依頼されるようになった。これまでに3校の児童や保護者を対象に食育セミナーを実施し、なかには毎年定期的に食育セミナーを行っている小学校もあるそうだ。
児童に対する講義も大人同様、興味をひく分野から入るように工夫している。例えば好き嫌いのある子どもに何でも食べましょうと話しても、伝えたいメッセージは届かない。そこで、胃腸を元気にすることが大事だとまず説き、よい便を出すために必要な食事の内容についてさかのぼって話をしたところ、便の観察に興味を持った児童たちに大好評だった。
このような地域での食育活動の実績が認められてか、大嶋さんは現在、日光市の食育推進計画の公募委員として、計画の策定にも携わっている。
「薬局の直接的な利益にはつながりませんが、食育推進計画の策定を通して地域に貢献しているわけですから、会社の仕事の一部として認めています」と、長谷川さんもそして薬局のスタッフ全員が大嶋さんの地域活動を応援する。
「以前に比べて店頭で話しかけてもらえる機会がずいぶん増えました」と、大嶋さんは地域での食育活動の効果についてこう語る。最近は店頭だけでなく、街中のスーパーや美容院で用事を済ませている最中に声をかけられ、その場で即席の栄養相談が始まることも。「患者さんとの信頼関係がさらに深まっていることを実感していますJ(大嶋さん)。
また、患者さんや地域の人の紹介で糖尿病や高血圧症、脂質代謝異常症などの生活習慣病に罹患している人が薬を調剤してもらうついでに栄養指導を受けたいと来店することも多くなった。総合病院など管理栄養士が在籍する医療機関にかかっていない場合は、栄養指導を受けるチャンスが少なくなるため、気軽に栄養相談ができる場所として注目されているのだ。
「調剤の時間を利用して患者さんは薬局前のスーパーで買い物をして戻ってくるため、栄養相談を行う際、提げている買い物袋の中を見せてもらえば、どんなものを好んで食べているのか一目瞭然です。このような実際の食生活や食行動に基づいた栄養指導を病院で行うことは難しいので、地域に密着した薬局ならではの強みだと思っています」と、大嶋さんは利点を挙げる。
薬と栄養の両面のサポートを受け、生活習慣病の数値が安定したり、胃腸の不調が改善したりする患者を目の当たりにし、薬剤師もあらためて「医食同源」の効果を実感しているそうだ。長谷川さんによると、日光市内にある同薬局の支店には栄養士が在籍していないため、代わりに薬剤師が資材を使って栄養相談や指導を行っているそうだ。「当薬局では薬物療法と栄養指導はセットで行うべきものとの認識でいます。服薬指導の内容にも相乗効果が現れています」と、長谷川さんは評価する。
食育セミナーをはじめとする地域活動で、食や栄養に対する根強いニーズがあることを掘り起こすことができた今、長谷川さんには食を独立した事業として展開していきたい思いがある。大嶋さんも「居場所を探している高齢者が多いので、軽食やお茶を楽しみながら薬や食事、栄養のことを自由に語り合えるサロンのような場所を開きたい」と意欲的だ。
そして、長谷川さんはインタビューの最後にこう締め括った。「どんなに立派な薬局やシステムを作ったとしても、地域の患者さんや住民の皆さんがいなければ薬局としての“生業"は成り立たないのです。そのことを忘れないようにしたい」と――。地域にまなざしを向け、自ら出て行ったことにより、長谷川薬局は地域に密着した楽局として、さらなる進化とを遂げようとしている。
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